平成27年度の入管法の改正により、高度外国人人材のための新たな在留資格として「高度専門職1号・2号」が創設されました(平成27年4月1日施行)。いままでは高度人材外国人に対しては「特定活動」という在留資格を付与することで対応していましたが、今後は高度専門職という在留資格として付与されることになります。具体的な内容も平成26年12月26日付けの官報号外292号によって法務省令や告示等が開陳されました。以下、おおまかに説明します。
高度専門職1号という在留資格は、
「高度な専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次の
イ~ハまでのいずれかに該当する活動であって、我が国の学術研究又は経済の発展に寄
与することが見込まれるもの」としています。
おおまかにいうとイ「研究・研究の指導・教育、経営活動」、ロ「自然科学・人文科学の分野の業務、経営活動」、ハ「事業経営・管理、経営活動」になります。経営活動についてですが、これはその所属機関における就労活動だけではなく、自らその関連業務について経営活動を行うことも認める内容です。
また法務省令で定める基準についてですが、これは高度外国人人材の制度と同じようにポイント制を導入しております。ポイントの内容については高度外国人人材のものと大体同じです(合計70点必要)。ポイントの内容については今後、本ホームページの高度専門職において説明しようと考えております。その他のメリットについては以下に記載します。
高度専門職のページはコチラ(解説ページ)
在留期間
高度専門職1号の在留資格に付与される在留期間は5年が付与されることになります。
一般的に就労系の在留資格は最初1年の在留期間が付与されるのがほとんどで、その後安定してから3年や5年といった長期の在留期間が与えられるのですが、高度専門職1号の外国人には一律に5年の在留期間が付与されます。
家事使用人
高度専門職で在留する外国人には(世帯年収が1000万円以上の場合)、当該外国人が使用する言語により日常会話ができる家事使用人(18歳以上・月額報酬20万円以上)にも特定活動としての在留資格の付与の可能性があります。
配偶者の就労
高度専門職外国人の配偶者(同居する場合に限る)には研究や、語学教育などの教育活動、自然科学・人文科学分野での活動、一部の芸能活動が認められる可能性があります。本来、就労活動を行うには就労ビザ(就労系の在留資格)を取得する必要があり、それを取得するには学歴や経験などの要件が設けられているのですが、高度専門職の外国人の配偶者(妻または夫)にはその要件を満たさない場合でもこれらの在留資格に該当する就労活動をすることができることになります。
父母の在留
高度専門職の外国人(世帯年収が800万円以上の場合)で、7歳未満の子供の養育、または妊娠中の自身や配偶者の介助・家事の支援などの日常的な活動のために、その父母(配偶者の父母を含む)の在留が認められる可能性があります(同居が必要)。
その他
その他、入管申請における優先処理や、永住許可要件の緩和などの優遇措置が高度外国人人材の制度と同様になされると考えられます。
高度専門職2号とは、
「高度専門職1号の活動を行った者であって、その在留が我が国の利益に資するものとして
法務省令で定める基準に適合するものが行う活動」をいいます。
高度専門職2号の在留資格の取得は、高度専門職1号からでないと認められません。
この場合、高度専門職1号の在留資格で3年以上在留していたこと、素行が善良であることのほか、当該外国人の在留が日本国の利益に合致していると認められることなどの要件が必要になります。
在留期間
高度専門職2号の在留資格における在留期間は無期限となっております。どういうことかというと在留期間については永住の在留資格と同等に扱うということです。
しかし考えてみますと、高度専門職という在留資格から永住の在留資格を取得する場合には、高度外国人人材の制度と同様に優遇措置が考えられますので、高度専門職2号を取得するよりも永住の許可を受けたほうがいいという考え方もできます。そもそも永住との違いは何かということが問題となりますが、高度専門職の在留資格は少なくともその就労活動と所属機関は限られているということです。永住は在留期間も無制限ですし、その就労活動も無制限です。ただし外国人の所属国によっては日本で永住の在留資格を取得することで本国で国籍等の面で帰化をした場合と同様の扱いを受ける場合もありうるとのことですので、永住ではなく高度専門職2号という在留資格を取得するという選択的な方法を示したということのようです。
その他
その他、家事使用人や配偶者の就労、父母の在留などは高度専門職1号に同じです。