建設業許可とは、建設工事の完成を請け負う場合に、建築一式工事においては請負代金1500万円以上または木造住宅の延べ面積150㎡以上の工事、建築一式工事以外においては請負代金500万円以上の工事をする場合に業種(28業種)ごとに必要となるものです。元請だろうと下請だろうと同じです。また許可の種類には一般建設業許可と特定建設業許可とがあり、都道府県知事または国土交通大臣によって許可が与えられます。許可の有効期間は5年間です、よって5年ごとに更新が必要となります。また法人の商号や役員、技術者に変更があればその都度変更が必要となりますし、毎事業年度終了後に決算報告(決算変更届)が必要となるので注意が必要です。
特定建設業許可とは、建設工事の請負を元請でうけた業者が下請に出す金額が3000万円以上となる下請契約によって工事を施工する場合をいいます(建築一式工事では4500万円以上です)。それ以外のものを一般建設業許可といいます。下請業者がさらに下請に出す金額が3000万円以上になる場合であっても一般建設業許可です。あくまでも元請業者が下請けに出す金額が3000万円以上です。
また都道府県知事許可とは、営業所が1つの都道府県にのみ存在する場合の許可であり、営業所が複数の異なる都道府県にまたがるときは国土交通大臣によって許可が与えられます。
建設業許可取得の大きなポイントが3つあります。
それは①「経営業務の管理責任者」、②「専任技術者」、③「財産的基礎」です。
①「経営業務の管理責任者」
経営業務の管理責任者がいることが建設業許可取得の要件の1つです。この経
営業務の管理責任者とは会社であれば常勤の役員、個人であれば個人事業主で
ある必要があり、かつ建設業の経営業務の経験が、申請業種と同じ業種の経験
で5年、申請業種と別の業種で7年以上が必要です。
②「専任技術者」
営業所に常勤の専任技術者を置いていることが建設業許可の要件の1つです。
専任技術者とは「工業高校・大学等で所定学科を卒業後に5年または3年以
上の実務経験がある」、「10年以上の実務経験」、「国家資格を有する」場合
をいいます。なお特定建設業許可の場合にはさらに指導監督経験を要求され
る場合があります。
③「財産的基礎」
請負契約を履行するに足る財産的基礎を有していることが建設業許可の要件の
1つです。財産的基礎とは「直前決算において自己資本が500万円以上」、
または「500万円以上の預貯金残高証明がある」ことです。なお特定建設業
許可の場合には欠損比率が20%以下・流動比率が75%以上・資本金が
2000万円以上・自己資本が4000万円以上であることが要求されます。
なお注意が必要なのは経営業務管理責任者、専任技術者は他の建設業許可業者の
経営業務管理責任者、専任技術者を兼任することはできません。
上記の3要件を備えていれば建設業許可を取得できる目安がでてきます。なお
そのほかの要件として④「請負契約に関して誠実性を有していること」、⑤「欠格
要件に該当しないこと」が要求されております。
④「請負契約に関して誠実性を有していること」
法人、法人の役員、個人事業主等が暴力団構成員ではないことです。
⑤「欠格要件に該当しないこと」
法人、法人の役員、個人事業主等が成年被後見人等ではないことや、禁固以上
の刑に処せられ、その刑の執行が終わってから5年を経過しない者や、建設業
法等に違反して罰金刑に処せられ5年を経過しない者ではないことです。
経営事項審査とは、工事高や利益額、技術力、福祉や経理の状況等、総合的な判断により経営力を判断し、それを数値化して、公共工事についての入札参加資格審査の条件とするものです。公共工事の入札をする場合には必ず必要となります。
経営事項審査は建設業の許可業者が対象となっております。申請者はまず登録機関が行っている経営状況分析(Y点)についての審査を受け、その経営状況分析の結果を添付して経営事項審査を受けることで経営規模等評価(XZW点)のほかに、総合評定値(P点)を受けることができます。総合評定値(P点)を有していることが神奈川県をはじめ多くの公共事業入札において入札参加資格審査の条件とされております。
経営事項審査の有効期間は1年7カ月とされておりますが、これは審査基準日(直近の事業年度の決算末日)から計算されるもので、毎年決算後に速やかに経営事項審査を受けなければ、空白期間ができてしまう可能性があります(決算確定の期間と経営事項審査の審査期間等を考慮した期間として7カ月を置いている)。なお入札参加資格の認定は経営事項審査の申請とは別に、あらかじめ事前に受けておく必要があります。