☀外国人介護福祉士の誕生!
2016年11月18日の参院本会議により、外国人が介護士として日本で働くことができるようにするため、入管法を改正し、在留資格として「介護ビザ」を創設することが決まりました!。また、同時に技能実習制度においても「介護」の職種の追加をするなど、現在、急速に高齢化が進んできているにもかかわらず、慢性的な人手不足が問題となっている日本の介護の現場において、外国人介護福祉士や外国人実習生が活躍することになりそうです。
なお、在留資格「介護ビザ」の開始は、2017年9月1日からとなっておりますが、申請自体は2017年6月1日より受付がスタートいたします。
当事務所でも介護ビザ申請に対応しておりますので、申請を予定している介護事業者さん、外国人留学生の方、専門学校関係者の方など、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
また、上記の開始前に介護福祉士の養成施設を修了する外国人留学生が、2017年4月から介護福祉士として就労を予定している場合にあっては、特例として介護ビザの運用開始前であっても就労の在留資格「特定活動」として対応するとする措置をとることとしておりますので、現在、外国人留学生を介護福祉士として雇用が決まっている事業者さんがおりましたら、お気軽にご相談ください。
なお、外国人が介護の現場において「介護ビザ」を取得して働くためには、介護福祉士の資格が要件とされていると同時に、実は介護福祉士の資格取得の方法も要件となっています。
介護福祉士の資格を取得するためには、大きく分けると「実務経験ルート」、「福祉系高校ルート」、「養成施設ルート」がありますが(なおEPAを除く)、このうち、在留資格「介護ビザ」の取得要件としては、「養成施設ルート」であることが求められています。以下で説明していきます。
介護ビザの要件
✤ 在留資格「介護ビザ」の要件は、日本の介護福祉士の資格を取得していることです。
なお、介護福祉士の資格取得の方法にはいくつかのルートがあり、大きく3パターン「実務経験ルート」、「福祉系高校ルート」、「養成施設ルート(専門学校等)」がありますが、介護ビザを取得するために外国人が介護福祉士の資格を取得する方法は「養成施設ルート(専門学校等)」に限定されており、基本的には本国で12年以上(高校卒業)の教育を受けた者が、日本の専門学校の「介護福祉士養成施設で2年間以上」、または福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設等を卒業した外国人で「介護福祉士養成施設で1年間以上」により介護に関する知識・技能を修了する必要があります。
よって、実務経験を3年以上積み、実務者研修を経て介護福祉士の資格を取得する「実務経験ルート」では在留資格「介護ビザ」の取得は認められていないことに注意が必要です。これは、過去にすでに介護福祉士の資格を取得している外国人であっても同様です。
なお、「養成施設ルート(専門学校等)」で学校を修了した場合には、平成28年度までの卒業生についてはそのまま介護福祉士の資格を取得することができますが、平成29年以降~33年(2017年~2021年)までの卒業生については、筆記試験なしでも介護福祉士の資格を取得できますが、卒業後に継続的な実務経験5年以上がなければ介護福祉士の資格が認められなくなります、すなわち介護ビザも更新できなくなることになります(この間に筆記試験を突破すれば更新が認められます)。
平成34年以降は完全に筆記試験が求められることが予定されていることもあって、筆記試験となると語学力での問題もあるため、今後、介護福祉士養成の専門学校に入学してくる外国人に関しては、資格取得を目指すのであれば今がチャンスであると言えます。
介護ビザの要件
1 本邦の公私の機関との契約に基づいて、介護福祉士の資格を有する者(外国人)が、介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動をすること。
2 社会福祉法・介護福祉士法40条第2項1号から3号までのいずれかに該当すること(すなわち「養成施設ルート」で介護福祉士の資格を取得すること)
3 日本人が従事する場合における報酬額と同等額以上の報酬を受けること。すなわち不当に安い賃金で雇用することはできません。
介護ビザについての概要
✤ 少子高齢化に伴い、介護人材の不足を外国人就労者によって補っていこうとする施策の一環として、入管法を改正することで、外国人介護士を介護現場で働けるようにしました(「介護ビザ」の創設)。また技能実習制度に「介護」を加えることで、外国人技能実習生が日本の介護現場で実習をおこなうことができるようになりました。
いままでは、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムとの二国間でEPA協定を締結することで、候補者を選定して日本に来てもらい、介護・看護の研修や、日本語能力研修を経て、最終的には日本の看護師・介護福祉士試験に合格することができれば引続き日本で看護師・介護士として就労できるとする施策をとってきましたが、対象国や人数が限定されていることや、そもそもが看護・介護の現場における人手不足を補うという目的の協定ではなかったため、介護現場においてはそれほど人手不足を補うほどの効果はありませんでした。
そのため、介護分野における外国人就労者の受入拡大を見込んだ施策として、法律を改正し、技能実習制度に「介護」の職種を追加し(技能実習生として日本の介護現場で実習が可能となりました)、さらに入管法における在留資格「介護ビザ」を創設する法案が成立いたしました。